ここ数年で増えて来た感じのする「パニックになる犬」の話。
さて「大和」君、問題です。どうして急にパニックになる犬が居るのでしょうか?
『久しぶりの問答だね。父ちゃん』
そうだね。でも、今のお前なら簡単だろ?
『オイラの考えだと、きっと自信と信頼関係がないんだね』
ふむ。誰との信頼関係がないのかな?
『家族とのだよ』
それは、どうしてだと思う?
『子犬の時期に遊んでいないのが問題なんだよ』
なるほど。遊んでいないとどうなるのかな?
『遊ばずに育った犬は、そのほとんどが怖がりさんだね』
それは、どうしてかな?
『簡単だよ。子犬は遊びの中から信頼関係を築いて、信頼できる家族といれば安心できる事を学ぶからだよ。だから、子犬の時期に遊びが足りていないと家族との信頼関係が構築できずに、いろいろなものに怯える怖がりな子に育っちゃうのさ』
よく出来ました💮
『このくらいは簡単』
頼もしいことを言ってくれるね。それでは第二問。
『どんと来い』
パニックを起こす犬に対しては、どのようなアプローチをすれば良いでしょうか?
『年齢にもよるよね』
そうだね。それでは一歳未満の子犬から説明してください。
『子犬は簡単。たくさん遊んで、信頼関係を築いていけば良いのさ』
どうやって遊ぶのが効果的なのかな?
『一番は甘噛みOKの取っ組み合い遊びだね』
それは、何故かな?
『親犬と子犬はそうやって遊ぶからさ』
なるほど。それでは、一歳以上の成犬の時にはどのようなアプローチが必要かな?
『難問が来た』
頑張って。
『その犬の性格によるかな?』
と、言うと?
『パニックになる犬っていくつかのタイプがあって、例えば怖くなって逃げ出す子もいれば、急に攻撃的になっちゃう子もいるよね?』
そうだね。
『怖くなって逃げ出すようなタイプの子には「怖くないよ。大丈夫」って事を教えてあげれば良いんだけど、攻撃的になる子にそれをすると逆効果になるかもだし?』
それなら、怖がりな子の対処は?
『家族との信頼関係を再構築して「安心できる家族(群れ)である事を意識させる」ことが重要だね』
そのために必要なのは、どんなことかな?
『まずは「抱きしめられるようにする事」だね。オイラ達は抱きしめられると心が落ち着くっていう習性があるから、それを利用してもらうのが一番早いかな?』
よくできました💮
それでは、ここからは私が、攻撃的なパニックの対処方法について説明していきます。
『勉強の時間だ』
攻撃的なパニックを起こす犬について、一番気を付けなければならないことは「家族を咬むかどうか」です。
家族を咬まないのであればそこまで難しい問題ではないのですが、家族に咬みつく犬の場合は、人が犬に怯えてしまっている可能性があるので大問題に発展する場合がほとんどです。
家族に咬みつかなければ「抱きしめるトレーニング」でその殆どが解決するのですが、咬みつかれた人は、犬に怯えていることが多いので「犬を抱きしめることができない」のです。
その場合は、私が嫌われ役をします。
先ほど「大和」が「犬は抱きしめられると心が落ち着く」と説明してくれました。これは、親犬が子犬を落ち着かせるのに用いる方法の一つでもあるからです(親犬の場合は押さえつけるというのが正しいのですが)。
このように、ヤンチャな子犬は親犬に押さえ付けられて落ち着くまで解放されません。
パニックを起こし、攻撃的になる場合も同じです。
本来ならば、親犬が強制的に押さえつけて子犬が落ち着くまで動けないようにします。
それを私が行います。
パニックを起こし、家族にさえ咬みつくようになった犬は、他人だろうと迷わずに咬んできます。それを落ち着かせるには「抱きしめる」のが一番の方法です。
抱きしめるのですから、犬には痛くはないのです。とは言え、当然怖がってはいますからとても暴れます。咬みついてもきます。厚手の革手袋を装着していても、小型犬相手でも怪我をすることもあります。それでも犬のパニックを落ち着かせなければ改善はしません。
落ち着いてしまえば、急に尻尾を振って何でもなかったように振る舞う犬も少なくはありません。つまり、パニックとは文字通り「自分を見失っている」状態なのです。
落ち着きを取り戻してしまえば、その後は家族の方々にも練習をしてもらいます。
一度、落ち着くという行動を覚えた犬は、簡単に落ち着くようになることがほとんどです。
何故ならば「落ち着く方法を犬が学習できたから」ですね。
そして、ご家庭で真面目に頑張ってくださった方々の愛犬は落ち着きを取り戻して、パニックを起こさない犬に変わっていきます。
当然、事前にそれを説明しても家族の方々に「虐待された」などと書き込みをされることも多いです。
『Z z z💤』
起きていますか?「大和」君?
『おはよう。父ちゃん。話が長いから、眠くなっちゃったよ』
・・・。
『つまり、父ちゃんに任せておけば大丈夫。って事だろ?』
そう簡単な話でもなかったんだけどね。
そんなこんなで、久しぶりに難しい話でした。
最後までお付き合いくださり、ありがとうございます。
それでは、また。