ドッグランなどでよくある質問なのです。
「犬って、社会化していればどんな子とでも仲良く遊べるんですよね?」
お答えしましょう
『無理です』
多くの人が勘違いしている事なのですが、正しく社会化した犬は全ての犬と仲良くしません。
何故か?それはですね。
『相手の犬が社会化しているとは限らないから』
と言う事なんです。
簡単に説明しましょう。
そもそも犬の社会化ってどう言う事なのか?
(これをしっかりと説明してくれる人って、なかなかいないんですよね。)
(我々は人間ですし、犬じゃないので仕方ないと言えばその通りなんですが。)
社会を形成して生活する生き物にとって、最初にするべき事ってなんでしょうか?
それは「挨拶を交わすこと」だと思います。
挨拶をするから「私はあなたの脅威ではない」事を伝えられます。
だからこそ親犬は子犬に「犬としての挨拶」の仕方を徹底的に教えます。
これこそが犬の社会化です。
ここでワンポイント。
『真っ先に、お尻の匂いを嗅ぎに行くのはダメ』
それはルール違反です。
多くの本には書いてありますね。
お尻の匂いを嗅ぐのは犬の挨拶だと。
それならば何故「相手の匂いは嗅ぎたがるのに、自分の匂いを嗅がせないのか?」と言う疑問が出ます。
強い存在は自分の匂いを嗅がせない?
有り得ませんね。強いからこそ堂々としているはずなのですから。
これから考えられることは一つ。
お尻の匂いを嗅ぐのは犬本来の挨拶ではない。と言う事です。
本来ならば、このように顔を突き合わせて匂いを嗅ぎ合って終わり。
これが犬の挨拶です。
挨拶を交わすから仲良くなれる。
仲良くなれるから一緒に遊べる。
一緒に遊べるから友達になれる。
つまり、犬の社会化というのは「挨拶ができるか?」
と言う事ですね。
「社会化していない犬って吠えるし、問題行動が多いんですよね?」
なんて言われますが、そうでもないです。
社会化していなくても物静かで家庭内で問題を起こさない犬って、多くいます。
それでは何故、犬は社会化した方が良いのか?
それは「他の犬と仲良くさせる」ことができた方が、「一緒に生活して楽しいから」です。
極論言ってしまえば「他の犬との接点なんていらないし、この子が(自分視点で)幸せなら他に何もいらないでしょ?」と、考えるのならば社会化させなくても構わないと思います。
(とはいえ、何かトラブルがあった時にどうなるかは分かりませんが)
さて、犬の社会科で大切なことがもう一つ。
それは「謝ることができるか?」です。
ここらは人の社会も似ていますね。
当然ですが、犬も悪い事をすれば怒られます。
本来ならば、子犬の頃に親犬から教わらなければならない事なのですが、最近は子犬を親犬から離してしまうのが早すぎるので問題になっていると感じます。
それでは「謝る事が出来ないとどうなるのか?」説明していきます。
怒られる事を経験して育った犬は、当然「物事の善し悪し」を理解できるように育ちます。
最近は「犬は叱りつけてはならない」なんて言う人が増えていますが、そもそも親犬は子犬を叱りつけます。
それは、子犬に悪い子に育ってほしくないという「親犬の愛情」だからです。
愛しているからこそ叱りつける。怒ってやる。これはとても大切な事です。
しかし、悪い事をした時に怒られる事なく育った犬は、その多くが犬や人に噛み付く犬に育っています(当然ですよね?どんな事をしても怒られる事なく甘やかされているのですから)。
吠えるだけならばまだ許される事もありますが、噛み付いてくるのは大問題ですね。
最悪の場合は喧嘩になります。もしもサイズが違う犬と喧嘩になったら?
そんな事にならないように、犬が悪い事をした時にはしっかりと叱りつけてあげましょう。
ポイントは「犬が犬を叱りつけるように」行うこと。
ここを履き違えてしまうと問題が悪化することが多々あります。
そして、犬が「謝ったら許してあげる」のを忘れずに。
こうして犬は「悪い事をしたら怒られる」事と「謝らないと許されない」事を覚えます。
本来は親犬から教わらなければならない事なのですが、今の犬事情を考えるとそうも言っていられませんので自分が親犬として頑張るしかないのです。
社会化した犬というのは「挨拶ができて、物事の善し悪しが分かる犬」と言う事です。
当然、挨拶を返さない存在とは仲良くしませんし、喧嘩を売られれば買う事もあります。
社会化したら問題行動が無いなどと言うことはありません。
それでも、社会化した犬は社会化していない犬よりも問題行動が圧倒的に少ないのも事実です。
長くなりましたが、社会科のお話しでした。