そもそも、犬の躾とはどんな事なのでしょうか?
私に言わせれば、服従訓練は躾ではありません。
何故かって?
言葉をよく見て下さい。
「服従訓練」と言う言葉に中に『躾』の文字はありますか?
犬を犬らしく育てる事に必要なことが『躾』
犬を人の都合の良いように育てるのが『服従訓練』
服従訓練をしている犬を見ると、多くの人が「凄いな」と、感じるのだと思います。
しかし、服従訓練には犬種によって得手不得手があることを知ってください。
我が家の怪獣「軍太」は四国犬。つまりは日本犬です。
何故かはわかりませんが、多くの訓練士と言われる人達は日本犬を嫌います。
私のところに多く来る相談の一つとして「柴犬の成犬だと言ったら断られた」と言うのがあります。
これは何故なのか?
私は色々な犬種を看板犬にしましたが、四国犬はとても育てやすい犬だなと、感じます。
確かに、レトリバーや牧羊犬たちに比べればとても頑固で扱いにくいのかもしれません。
しかし、とても賢く、穏やかで、愛情深い犬であることも事実です。
それでは何故、訓練士に嫌われるのか?
答えは簡単です。
私の怪獣。実は「服従訓練が嫌い」なんですよね。
これは犬種的な特徴だと思います。
例えば、ハスキーは橇を引く犬です。
四国犬は優秀な狩猟犬ですね。
つまり「人の隣を歩く事を求められていない」犬達です。
そんな犬達に服従訓練で「隣について歩け」なんて教えるのは、とても意味不明な事の一つだと考えます。
確かに、お祭りや、お花見などの人が多く集まる場所ではグイグイ引っ張られるのは良く無いことと思います。
しかし、他人に迷惑をかけないのであれば多少のヤンチャは許しても良いのでは無いでしょうか?
威嚇するように吠えたり、噛みついたり、飛びかかったりするのは大問題だと思いますが、中にはおしゃべりな犬(ハスキーやサモエド等)もいます。
その犬種の特徴や、その犬の個性を伸ばして良い子に育てることが「犬の躾」であると私は考えます。
しかし「服従訓練」は違います。
全ての犬を同じように、個性を無視して人の都合の良いように育てる。
これが私が教わった「服従訓練」でした。
考えてください。
あなたは自分の愛犬に「服従訓練」を望みますか?
確かに、服従訓練を好む犬も多くいます。
しかし「犬が人よりも前を歩くと犬がリーダーになる」なんて事をいまだに信じている人たちに自分の愛犬を任せたいですか?
私は犬の問題行動修正専門のトレーナーです。
それは「服従訓練が犬の躾である」と言う大嘘に疑問を持ってしまったから。
服従訓練が完璧に入っていても、安全に触れない。多少の刺激で吠える。叱りつけられても落ち着かない。
そんな犬を訓練所で多くみてきました。
そこで感じたことは「うちの犬って、こんなに吠えないよな?」です。
それでは、なぜそのような犬に育ったのでしょうか?
その答えが「躾をされていない」からです。
はじめに記しているように「犬を犬らしく育てる」それが犬の躾です。
どのようにすれば「犬を犬らしく育てる」ことができるのか?
その答えは、犬が教えてくれます。
怪獣「軍太」は、やんちゃ坊主です。
当然、たくさん悪いこともしました。
しかし、悪いことをした時には必ず大怪獣「大和」や「くま」ちゃんが叱りつけます。
この「叱りつける」と言う行為が「犬の躾の極意」だと感じました。
そう。犬は犬を叱りつけるのです。
そこには血縁も年齢も関係ありません。
悪いことをしたら叱られる。当たり前のようで、当たり前に行なっていないことですね。
良いことをしたら褒める。悪いことをしたら叱る。
犬はこの行動を決してサボりません。
そして、たくさん遊ぶ事も躾にはとても大切なことです。
遊ぶ事により犬との間に信頼関係が築き上げられます。
信頼している相手だからこそ、叱られた時に素直に言う事を聞くのです。
この辺りは人と似ていますね。
つまり「犬の躾」とは、たくさん遊ぶ事、よく褒める事、きちんと叱りつける事。
この3つが答えです。決して服従訓練が犬の躾ではありません。
面倒臭い話にここまで付き合ってくださり、ありがとうございました。